所報1月号
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 川の流れは、陸の高いところを海水面と同じくしようと作用することから、地形をつくり、まちの風景を日々変えていきます。本年の表紙絵は、松山平野の川を巡ります。松山平野は、重信川とその支流によってつくられた、県内最大の平野です。重信川は、近世以前、伊予川と呼ばれており、流路が定まらず氾濫が多い川でした。松山藩主の加藤嘉明が河川改修を足立重信に命じ、現在の形となりました。その業績を称え、重信川に改名しました。 今回の表紙絵の「白猪の滝」は、重信川の上流部にあり、高さは96m、特に、冬の氷瀑は絶景です。南北朝時代、南朝の敗将、河野氏の霊が白猪に乗って山中より現れたという伝説が滝の名前の由来になっています。 また、歴史を紐解けば、正岡子規・夏目漱石の両文豪もこの地を訪れています。子規は、「追いつめた 鶺鴒見えず 渓の景」、漱石は、「雲来り 雲去る瀑の 紅葉かな」と句を詠みました。奇しくも、正岡子規と夏目漱石は同じ年に生まれ、今年で150年を迎えます。子規と漱石が松山で過ごした52日間は、お互いにその後の活動に大きな影響を与えています。 このように、川の流れには、自然の恵みと人々の歴史が刻まれています。本年は、こうした川の流れとまちの風景を探します。第1回「重信川上流 白猪の滝」追いつめた 鶺鴒見えず 渓の景子規も句に詠んだ伊予の絶景追いつめた 鶺鴒見えず 渓の景子規も句に詠んだ伊予の絶景川の流れと まちの風景せきれいたきコラム27

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