所報1月号
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企業と地域の持続的な発展地方創生と当会議所の役割   昨年秋には、アメリカ大統領選でのドナルド・トランプ候補の逆転勝利による「トランプ・ショック」が世界を駆け巡り、我が国も、一時は円高、株安が進んだものの、米国における財政拡大への期待が広がり、円安、株高へと転じるなど、現時点では日本経済に追い風となっています。しかし、その先行きはトランプ氏が公約に掲げたTPP離脱や同盟関係の見直しなども含め、見通せない状況にあります。また、イギリスのEU離脱で揺れた欧州は、イタリアの国民投票で改憲が否決されるなど、主要国で政治不安が広がっています。世界経済が混沌とする中、日本経済は、デフレからの脱却が見え始めていますが、景気回復の鍵は、今後の所得上昇と個人消費の拡大であり、道筋は険しいものと言わざるを得ません。一方、愛媛、松山の景気動向は足踏み状態が続いています。県内の経済情勢は、緩やかな回復局面にあるものの、企業の生産活動や雇用所得に弱い動きがみられます。当会議所が11月に実施した会員企業に対する景気動向の調査でも、景況感は、若干の改善は見られるものの、依然、マイナス値の推移が続いていることから、先行きが見通せない本年の船出となりました。 こうした中で、少子高齢化、人口減少は確実に進行しています。総務省が発表した国勢調査の結果によると、日本の人口は減少局面に入り、松山市も初の減少に転じています。今後、松山市では、人口減少を上回る労働力人口の減少が見込まれているうえ、既に、人手不足感が顕著な管内企業もあることから、まさに、地方創生はまったなしの状況にあります。 企業や地域が持続的に発展するためには、こうした社会構造の変化を克服し、次代を切り拓く取り組みを進めなければなりません。経済界としては、女性や高齢者など、多様な働き手が活躍できる仕組みづくりを早急に進めるとともに、絶え間ないイノベーションによって、進展するIoTやAIなどを活用した第4次産業革命を目指し、生産性の向上に取り組むほか、縮小する市場を海外に求め、グローバル化やインバウンドの獲得に力を入れる必要があります。当会議所は、地域総合経済団体として、こうした企業や地域の取り組みを支えていきたいと考えています。今後の会議所運営は、企業の支援、魅力ある地域企業と地域のイノベーションが次代を拓く~人口減少社会の克服と商工会議所の役割とは~企業と地域の持続的な発展を支える松山商工会議所。管内企業の経営支援や観光振興などの地域の活性化に資する事業を幅広く展開している。今、少子高齢化による人口減少が確実に進行する中で、商工会議所は何をするべきかについて、平成28年11月1日に就任した松山商工会議所の正副会頭が語り合った。佐伯2新春座談会

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