所報5月号
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 当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。 愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大学発のホットな情報を提供します。 ぜひ、ご一読ください!産学連携で地域経済をパワーアップ!産学連携で地域経済をパワーアップ!きぎょう発かいぎしょ経由だいがく行第53回第53回第53回 プラズマ工学の研究と発展 地球規模で取り組む課題に対し、問題の本質を見抜き新たなブレイクスルーを創出する理学分野において、広く活躍できる人材の輩出を目指す愛媛大学理学部。同学部で水中プラズマの研究に携わる前原氏にお話しを伺いました。~ 愛媛大学理学部の取り組み ~│プロフィールを 教えてください。│愛媛大学での 活動については…。│今後の展開について…。 趣味はクラシック鑑賞。大学生時代に合唱部に所属したことがきっかけだとか。時間を見つけては、クラシックコンサートに出かけている。また、自己鍛錬のため、毎日筋トレに励む。座右の銘は「為せば成る」。尊敬する人物は、物理学者・湯川秀樹氏。50歳。前原 常弘 氏愛媛大学  理学部副学部長      理学部物理学科教授・博士(理学) 出身は大阪府大阪市城東区です。京都大学理学部に進み、9年間在籍して理学の博士課程を修了しました。在学中は、プラズマや熱核融合などの研究に携わっていました。プラズマとは、一般的に電離した気体のことで、固体・液体・気体とは異なる物質の第4状態とも言われています。身近なもので例えると、プラズマテレビや照明用の蛍光灯です。この中でも、高温の核反応を狙うための基礎研究を続けてきました。平成7年4月に愛媛大学へ助手として赴任し、平成10年に博士号取得後、平成22年に教授となりました。本年4月より、理学部副学部長を拝命し、理学部全体を見据えた活動に取り組んでいます。 プラズマ遺伝子・分子導入技術を実用化し、再生医療の現場で利用できることを目指しています。例えば、iPS細胞に遺伝子を植え付ける作業にも応用可能な、プラズマを利用した安全な導入方法を構築したいと考えています。その他、新たな分野の展開を目指して今後も研究を続けていきます。分野に縛られず、私が対応できる事象であれば何でも相談にのります。また、学生の就職支援も含め、今後も企業の方々と連携を深めていきたいと思います。 愛媛大学では、プラズマ状態の中に、電磁波を入れるとどのような反応が起きるかといったプラズマの基礎研究に取り組んでいます。加えて、新たな分野への発展を考えていた際に、工学部の野村先生に声をかけてもらい、水中プラズマの研究を始めました。水の中に電極を入れて、高周波を通して雷のような反応を起こし、水をきれいにするといった研究です。他にも、金にプラズマを加えナノ粒子に分解し、金のナノワイヤーを生産する研究開発を行うなど、他分野への転用を考えています。一方、学生に対しては、教鞭に立ちながら、就職支援担当として企業への就職斡旋も行っています。最近の卒業生は、研究職といった理系職だけではなく、金融機関や販売系の総合職にも就職しており、多様な人材を輩出しています。コラム14

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