所報9月号
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 当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。 愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大学発のホットな情報を提供します。 ぜひ、ご一読ください!産学連携で地域経済をパワーアップ!産学連携で地域経済をパワーアップ!きぎょう発かいぎしょ経由だいがく行第57回第57回第57回 果実の高品質化と地域振興 地域的な視点と国際的な視野から食料、生命、環境に関する様々な問題を解決し、自然と共生する持続可能な社会の構築に貢献できる人材の育成を目指す愛媛大学農学研究科において、高品質果実栽培の研究に携わる山田氏にお話しを伺いました。~ 愛媛大学農学研究科の取り組み ~│プロフィールを 教えてください。│愛媛大学での 活動内容については…。│今後の展開について…。 趣味はガーデニング。草花やりんご、桃、山桃、ブルーベリー等を栽培している。スポーツ観戦も趣味の一つで、東温市の自宅から自転車で愛媛FCやプロ野球の応援に行くとか。大切にしている考えは「こつこつと努力を続ければ道は開ける」。59歳。山田 寿 氏愛媛大学  大学院農学研究科食料生産学専攻 農学部付属農場長教授 出身は現松山市の中島です。実家がみかん農家であったことから、松山北高校を卒業後、京都大学農学部果樹園芸学研究室へ進み、みかんの成熟に及ぼす果実温度の研究に取り組みました。同大学院へ進学後は、柿を研究していましたが、恩師の教授に誘われ中退して助手となり、熱帯・亜熱帯性常緑果樹の耐寒性に関する研究に取り組みました。また、全国の大学で同じ品種のリンゴを栽培して、環境(温度)が品質に及ぼす影響について共同研究も行い、寒冷地ほどショ糖の割合が高く、温暖地に行くほど果糖やブドウ糖の割合が高いことを発見しました。また、寒冷地の果実ほど「みつ」が多く、温暖地は少ないという傾向もつかみました。愛媛大学に着任してからも、高品質果実を生産するための栽培技術の開発や、果樹の生理や生態を解明するための研究に携わっています。 中島みかんをより美味しくするために、海水を利用できないかと考え、付属農場に点滴灌漑装置を導入し、実験を進めています。今後は、みかんを甘くするための海水処理技術を実用化できるよう研究を続けていきます。また、海水を利用してできたみかんを、付属農場の新たなブランドとして販売したいと考えています。農場ブランドとして現在、無農薬・無化学肥料栽培の安心米がありますが、第二のブランドの確立を目指します。また、海水と同じ効果を持ち、処理が簡便な農業資材について、企業と共同開発したいと考えています。企業の持つ技術が、農業資材等に転用できる可能性がありますので、お気軽にご相談ください。 最近は、「リンゴのみつ症状発生メカニズム」「あんぽ柿の褐変機構」「カンキツの高品質化」等を主なテーマに研究しています。実際に実験圃場では、成熟期のリンゴにみつが入る「ふじ」と、入らない「王林」を栽培し、夏場の収穫前の未熟な王林には多量のみつが発生し、秋の収穫期にはみつが消えていることを発見しました。これは「早期みつ症状」といわれ、オーストラリアで発見されていますが、発生のメカニズムの解明に向けた研究に取り組んでいます。一方、中島みかんのPR活動も行っています。松山離島振興協会を立ち上げ、島民にも会員になってもらい、大都市圏に出荷していた中島みかんを松山市でもPRを始め、道後の湯上がり朝市等のイベントに参加しています。この活動のリーダーとして年間20回以上参加して普及活動を行っています。コラム14

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