資源の枯渇、地球温暖化などのグローバルな課題に対応し、持続可能な社会を構築するには、地球市民としての企業の果たす役割がさらに重要となっています。
また、顧客、消費者、取引関係、地域住民、株主、従業員、金融機関、政府、NPOなど、関連するステークホルダー(利害関係者)の関心が多様化しており、企業の行うあらゆる活動が注視されています。
こうした状況に対応し、社会の一員として企業活動を適切に行うための手法として、企業の社会的責任(CSR)が注目されています。
CSRとは、事業活動を進めるなかで、法律を遵守しながら効率を追及し収益を確保することだけでなく、社会的な公正さや環境への配慮、地域への貢献などを通じ、関わりのある利害関係者(顧客、消費者、取引関係、地域住民、株主、従業員、金融機関、NPOなど)に責任ある行動を取るべきという考え方です。CSRへの取組みが企業価値の向上や競争力強化につながるとの考えが一般的となっており、国内でも企業の自主的な取組みが急速に拡大しています。
社会に役立つ製品やサービスを提供するなど、本業を通じた社会貢献や、地域社会の一員として、周辺の清掃活動や、児童の登下校の見守り、消防団活動の支援などを行うこともCSRの取組みのひとつと考えられます。
CSR活動は短期的には直接の利益に繋がりにくいことから、コストとして捉えられることがあります。しかし、長期的な視点から見ると、持続可能な社会基盤・経営基盤の確立や、企業イメージ・信頼感の向上をもたらす重要な取り組みです。
松山商工会議所では、地域企業によるCSR導入促進のため、『松山商工会議所CSR導入・ステップアップモデル〜「CSRの見える化・見せる化・魅せる化」のすすめ〜』を作成いたしました。本モデルでは、CSR導入のために最初に取り組むべきステップをお示ししているほか、次第にステップアップしていくためのガイドラインを提案しています。このリーフレットでは、主に小規模企業を対象としたCSR導入のための最初のステップを中心にご案内します。
CSRを導入するための作業の流れは、次の図のとおりです。現状分析や評価の際は、CSR取り組みチェックリストをご活用ください。
次の項目のうち、自社で達成できていると思われるものをチェックしてください。
※チェックできなかった項目は、自社で足りないところを考え、改善に取り組みましょう。
「松山商工会議所CSR導入・ステップアップモデル」のチェックリスト通常版もご活用ください。
<小規模企業への導入ポイント>
・CSR活動の必要性を認識する。
・出来ることから取り組む。
・CSR活動を「見える化」する。
小規模企業は、経営者の意識や理念を組織内へ即座に浸透させる機動性を備えています。また、多くの場合、経営者や従業員が顧客や取引先と同一エリアで生活しており、経営者の生活姿勢・経営姿勢が消費者や得意先等にダイレクトに伝わり、評価されるという特徴があります。
すなわち、経営者の経営理念がそのまま企業の経営姿勢となり、経営者のCSRに対する意識が企業姿勢として評価されるということです。
最近、食品偽装などの問題が多発しており、企業倫理や法令遵守に厳しい目が向けられています。小規模企業といえどもこうした厳しい眼から逃れることはできません。こうした時代にこそ、持ち前の機動力を活かし内外へ経営姿勢を表明することで、目に見えるCSR活動を展開し企業価値の向上を図るべきでしょう。
小規模企業がCSRに取り組もうとする場合、何をすればよいのか迷うかも知れません。特別なことである必要はありませんが、関係者に喜ばれ、企業イメージが向上するような取り組みが良いでしょう。さらに経費削減に繋がれば、なお有効です。立地や業種特性、経営資源などを見直せばいろいろと考えられるのではないでしょうか。
どのような企業でも取り組めることに、例えば事業所周辺の清掃活動があります。近隣を清掃する姿は人々の共感を生み企業イメージは上がるでしょう。そうした意識の企業が多い町は清潔な町となり、地域としての魅力が高まり、新規出店効果や居住希望者が増えるなど資産価値向上に繋がるかも知れません。
エコ運転は、CO2の排出削減などを目的に実施しますが、燃料費の削減効果や安全運転に伴う交通事故の減少、自動車保険料の低下など経費削減効果も生まれます。また、自社のマーク入り車両が安全運転をする姿は、関係者に良好なイメージをもたらします。
環境問題への対応では、他にレジ袋の削減運動、ゴミの分別やマイ箸運動などがあります。また、地産地消も安全・安心や不要な移動を削減する有効なCSR活動でしょう。
地域の歴史・文化活動への参加など地域貢献も大切なCSR活動です。地域に無くてはならない企業として好印象を得られるでしょう。
本業や自社製品を通じたCSR活動も重要です。例えば、消防機器を扱う業者の防災教室の開催、レストランや魚屋さんの料理教室など、様々な業態でそれぞれの活動が考えられます。
単独での開催が難しい場合は、地域イベントなどに協力しましょう。また、省エネ機器の導入促進なども、環境問題へ対応する企業姿勢として進めるのであれば、有効な手法でしょう。
このような取り組みを行うことを企業理念、方針として打ち出すことが必要です。まずは、関係者に知ってもらうため、CSR活動の「見える化」に取り組みましょう。
各コースの詳細については「松山商工会議所CSR導入・ステップアップモデル」をご覧いただくか、事務局までご連絡ください。