所報4月号
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コラムコラム12坂本 光司/さかもと・こうじ1947年東京生まれ。福井県立大学教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2008年4月より法政大学大学院政策創造研究科(地域づくり大学院)教授、同静岡サテライトキャンパス長および同イノベーション・マネジメント研究科兼担教授。他に、国や県、市町、商工会議所などの審議会・委員会の委員を多数兼務している。専門は中小企業経営論・地域経済論・産業論。著書に『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)、『この会社はなぜ快進撃が続くのか』(かんき出版)など。快進撃企業に学べ法政大学大学院政策創造研究科 教授 坂本光司どんな時代にも存在する、快進撃を続ける中小企業vol.01ある。 こういうと、「やはり問題は景気……」と考えがちであるが、それは一面的な見方である。と言うのは、最初の2割、つまり 中小企業を業績別にみると、3つのタイプに分類できる。第1が「景気創造型企業・景気超越型企業」、第2が「景気連動型企業・景気期待型企業」、そして第3が「構造的不況型企業・限界型企業」である。 第1の「景気創造型企業・景気超越型企業」とは、好不況にかかわらず、ぶれずに好業績を持続している企業、第2の「景気連動型企業・景気期待型企業」とは、好況時には業績が高まるが、不況になると業績が低下したり、赤字経営に陥ってしまったりする企業。そして、第3の「構造的不況型企業・限界型企業」とは、好不況にかかわらず、業績が低迷していたり、赤字経営に陥ってしまったりしている企業である。その分布をみると、かつては、2:6:2であったが、近年は、2:2:6といった割合である。つまり、好不況にかかわらず、業績を高めることのできない企業が近年激増しているので「景気創造型企業・景気超越型企業」は、かつての良き時代も、また今もその割合が全く変わっていないからである。しかもこうした企業はどんな業種にも、またどんな小さな企業でも、さらにはどんな地域にも多数存在しているからである。 長野県にある伊那食品工業株式会社は、斜陽産業といわれる「寒天業界」にありながら、「企業の目的は社員の幸福を通じて社会に貢献すること」を経営理念に、寒天に新しい価値を付けて商品価値を高めることで、昭和33年の創業以来、48年連続増収増益を実現した。今でもこうした企業が存在しているのである。 この現実を直視すると、中小企業の業績低迷の最大要因は、景気や市場などといった「外」の問題ではなく、経営の考え方・進め方といった「内」にこそ問題があると言っても過言ではない。 どんな時代にあっても業績がぶれず、快進撃を続ける中小企業が全国各地に点在している。わが国中小企業の元気を取り戻すため、次回からそうした企業を取り上げ、紹介していく。

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