所報11月号
8/28

副会頭森田 浩治(株式会社伊予銀行 会長)The winds of Matsuyama松山の私が考えるこれから 前回の本稿で人口問題への雑感を書きましたが、今回もその続編です。私が今一度申し上げたいのは、「50年後の社会を予想することは非常に難しいが、50年後の人口構成はほぼ確定している」、ということなのです。人口推計によると、2060年の総人口は、生産年齢人口を中心に約4000万人減少し、一方65歳以上の高齢者は約500万人増加し、高齢化比率は24%から約40%に上昇するという、かつて経験したことのない大変化が起こるのです。 今や必要不可欠な社会インフラでありビッグビジネスとなっている「コンビニ」、「宅急便」、「携帯電話」は、40年前には存在していませんでした。変化のスピードは早まっており、50年後には、今はない商品・サービスが多数存在していることは「明らか」で「確実」でしょう。それが何かは分かりませんが、その商品・サービスを求める人の年齢構成と数は分かっているのです。これは大きなヒントになるはずです。第8回「確実に来る 未来に向けて」 人口減少により、大量生産や一律のサービスからの転換が求められます。高齢者比率が高まるインパクトは大きく、60歳以上の消費支出は既に100兆円を超えたともいわれ、個人消費全体の4割を超え5割に達する勢い また、人口や高齢者比率だけでなく、シルバー・シニア層の定義や捉え方も、大きく変えるべきでしょう。 今と将来では、同じ60歳でも生活環境や考え方は異なり、消費行動も大きく変化するのです。 健康・医療・介護といったアンチエイジング分野のサービスは更なるニーズや進化があるでしょうし、人生経験豊富な世代の増加は文化や芸術などへの関心の高まりにつながるでしょう。求められるものは大きく変化するのです。 働く高齢者が増えることで何が変わるのか、家族構成はどう変化するのか、長生きリスクとは何か、それは家計や世帯にどのような状況をもたらすのかといった観点から、「従来と異なる消費行動をとるシルバー・シニア層」を想定しなくてはなりません。 今年、65歳以上の人口が初めて3000万人を超え、さらに今後約30年間は増え続けます。 既に、コンビニ、ネット販売、旅行などでシニア層の取り込みが目立つなど、未来へのシナリオは各分野で止まることなく進展しています。 人口減少と高齢化の先進国「日本」、その中でも先進県の「愛媛」。我々が、いち早くこの大きな課題に直面することは、「得た知恵やノウハウを、日本は勿論、世界にまで展開できる可能性がある、チャンスがある」といえないでしょうか。私は、変化を前向きに捉えたいと考えています。確定している50年後の人口構成高齢化先進県の「愛媛」から世界へなのです。もはや、完全に個人消費のメインマーケットといえます。 コラムコラム6

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です