所報1月号
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 当所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。 愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大学発のホットな情報を提供します。 ぜひ、ご一読ください!産学連携で地域経済をパワーアップ!第17回第17回 安心・安全な情報化社会を目指して いつでも、どこでも、誰でもコンピューターネットワークにつながる、ユビキタス社会が到来しました。次代は、人間の周囲にネットワークが自然に溶け込んで、意識しなくてもシステム側から自律的に人へ働きかける、アンビエント社会の構築が求められています。今回は、愛媛大学の高橋先生に、高信頼なアンビエント社会に必要な、情報収集システムの信頼性を低コストで確保するための研究についてお伺いしました。〜ユビキタスから高信頼なアンビエント社会へ〜│高橋先生のプロフィールを 教えてください。 出身は広島県です。1990年に愛媛大学に赴任し、情報工学科に関しては1期生から関わっています。 専門は計算機工学です。特に、LSI(集積回路)の品質保証について研究を行っています。コンピューターの中で、頭脳として計算や記憶を行うLSIですが、情報通信技術の発達により、様々な物に利用されています。普通の自動車でも50個、高級車になると100個から150個のLSIが使用されています。当然、LSIが正常に動かなければ、製品自体が動かないため、ゼロディフェクト(欠陥ゼロ)が求められます。それを達成するためには、LSIを壊さずに検査することが必要となります。一方、LSIは高性能化しており、ナノスケール(10億分の1)の世界です。今までに想定していない不具合も発生します。 研究を積み重ね、新しい故障のメカニズムをモデル化する取り組みやその検査方法の特許化に成功しました。その成果は、電子情報通信学会で論文賞をいただきました。 ユビキタス社会が概ね達成され、次代は人の周囲にコンピューターが自然に溶け込んだアンビエント社会を目指しています。 地域版のアンビエント社会を考える中で、愛媛であれば第一次産業に着目しました。柑橘などの状態を常にモニタリングする情報収集システムなどが切り口になりますが、その中でも、システムLSIの高信頼化技術の応用を模索しています。情報収集システムの信頼性を高めるためには、ハードウェアの劣化を防ぐ筐体が必要となりますが、そのコストが嵩むことが問題となります。 現在、研究を進めているのが、その解決策として、筐体に特別なコストをかけなくても、自律的にシステムの故障を検出するシステムです。これが上手く稼働すれば、安価な器具を利用しても、故障の発生へ迅速に対応できるため、情報収集システムの信頼性を高め、システム全体のコストを下げることができます。実際に、産学連携により研究を進めており、近い将来には実用化されることを願っています。 長く愛媛で学んだことから、何か地域に恩返しがしたいと考え、地域版のアンビエント社会構築のお手伝いをしています。何れは、情報収集システムの信頼性向上だけではなく、大きな課題となっている技術の伝承などに対し、手間を取らせない熟練者の作業記録システムにも取り組みたいと思っています。愛媛版アンビエント社会を構築するため、情報通信関連だけではなく、製造、卸・小売など幅広い業種の企業さんとの連携を模索しています。ぜひ、大学へお問い合わせください。愛媛大学大学院理工学研究科電子情報工学専攻大学院教授 博士(工学)高橋 寛 氏 │現在取り組まれている 地域連携事業について…│企業の方へメッセージを趣味は読書や映画という高橋先生。もう一つの楽しみは、様々な事業プランを考えることだとか。高橋研究室から愛媛の活性化がスタートしている。49歳。コラム20

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