所報4月号
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 当所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。 愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大学発のホットな情報を提供します。 ぜひ、ご一読ください!産学連携で地域経済をパワーアップ!第20回2 石鎚黒茶第20回 産学連携で食べるテクノロジーを愛媛から 愛媛大学では、産学連携による食品クラスターを形成するため「食品機能研究部会」を設置し、共同研究を行っています。今回は、愛媛大学における食品開発をご紹介します。〜みかんなど地域素材を活用した機能性食品〜 食品には、栄養補給、嗜好性、生体調節機能という3つの機能があります。食事や食習慣は健康に大きくかかわっています。例えば、高血圧や脳卒中になりやすい遺伝素因がある人でも、毎日の食事の取り方に気をつけていれば、脳血管疾患を予防できます。食生活は生活習慣病の予防に大きな役割を果たしています。 愛媛大学で機能性食品の研究を行っているのが同センターです。高機能性食材開発部門、食品産業地域連携部門、 機能性分子解析部門、食品健康機能解析部門という4つの部門を有し、学部の垣根を越えて、日夜研究を進めています。愛媛県の第一次産業の体質強化が緊急命題の中、同センターは食品科学に関する産学官連携の拠点となり、高付加価値化・ブランド化による6次産業化、食品科学をもとにした教育による、食に関する人材育成に取り組みます。※同センターは、産学官の連携で地域産業の再生・活性化を目指します。 愛媛は柑橘類全体で40年間日本一の生産を誇ります。温州ミカンは全国2位の生産量です。愛媛大学の研究により、その温州ミカンの果皮乾燥物を100%エタノールで抽出したところ、免疫タンパク質の産生を促進することがわかりました。温州ミカンの果皮へ豊富に含まれる、橙色の色素成分β--クリプトキサンチンの効果であり、同成分には、抗酸化作用、がん、リウマチ、糖尿病に対する予防効果や脂質代謝改善効果が認められています。 現在、温州ミカン果皮の機能性を利用し、魚の養殖への活用に取り組んでいます。その一つが、温州ミカンの果皮で育てたマハタの開発とブランド化です。普通飼料で飼育したマハタより香りや味が優れ、現在、商品化が進められています。 後発酵茶(黒茶)は全国的にも4例しかなく、そのうち3例が石鎚山系に集中しています。この石鎚黒茶は、愛媛大学の研究により、アレルギー症状の発症を予防する、脱顆粒抑制効果があることがわかりました。実際に、スギ花粉症モデルマウスによる実験では、花粉症の症状を緩和しました。今後は、ヒトにおける効果の解明や学術的成果をもとに効果を実感できる機能性食品の開発に取り組み、愛媛の貴重な黒茶文化の発展にも寄与する予定です。1 温州ミカン果皮愛媛大学農学部附属食品健康科学研究センター地域素材を活用した機能性食品開発●食品の機能性とは?愛媛大学では、地域素材に着目し、それを活用した機能性食品の開発に取り組んでいます。コラム13

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