所報5月号
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――その中で、がん患者の就労支援を行われていますね。 少なくない方が、がんになると仕事を辞められます。しかし、収入が途絶えてしまい、治療が継続できないこともあります。治療の中で、収入の確保が大きな問題となっていることから、厚生労働省のモデル事業として、がん患者の就労支援に取り組みました。まず、支援センターの中にハローワークと連携した、就職や仕事復帰などの相談ができる窓口を設置しました。バタバタした病棟内ではなく、落ち着いた場所で相談ができ、また、利用した患者さんからは、がんのことを隠さずに仕事を探せると好評でした。一方で、社会保険労務士やソーシャルワーカーなど、相談対応者向けの研修や医療従事者に対する相談支援のスキルアップセミナーなどを開催しました。結果、1年足らずで、19名の就労につながり、全国で最も多い実績となりました。今年度も事業が継続するため、愛媛県内の各拠点病院などへ横展開を進めていきたいと考えています。――企業の方にメッセージをお願いします。 就労支援などを行うにあたり、多くの企業を訪ね、意見交換をさせていただきました。驚いたことは、医療者側は企業に情報提供を行うことで患者が不利になるのではないかと考えていましたが、企業側では、がん患者を抱えることを負担とは考えず、従業員が病気で職場から離脱することの方が大きな損失だと捉えていたことです。企業と医療者は、立場は違いますが、その人たちを大切にしたいという想いは同じでした。また、医療者側、企業側ともに情報が不足し、誤解の中で患者さんが不利益を被っていることもわかりました。医療者側が企業に対して積極的に情報を提供し、一緒に対応していくことが企業にとってもメリットになるようです。相互が情報共有を行うための仕組みづくりが急務であり、それは、地域の医療ニーズへ応えることにもなります。今後、より多くの企業の方と意見交換したいと考えています。ご相談がありましたら、お気軽にご連絡ください。 最後に、がんに関しては、早期発見、早期治療がもっとも重要です。そのためには年1回の検診は欠かせません。経営者の方には、貴重な人材を失わないよう、従業員さんの検診について、機会の提供をお願いします。多様な療養ニーズに対して、きめ細やかなサポートを行っています。窓口相談などがん患者の就労支援を実施相互理解を進めることでニーズに応える谷水 正人 氏 昭和31年生まれ(58歳) 愛媛県松山市出身 岡山大学卒長く専門家として第一線にいたが、一歩下がって、最先端の専門家を支えようと環境整備に取り組んだところ、逆に引っ張り出されるようになってびっくりしている・・・と語る谷水先生。50歳にして天命を知ったと感じているとか。大切にしている言葉は「義」。社会の正義を実現したいと、日夜、医療環境の整備にまい進する。趣味は歴史小説を中心とした読書。【 略歴 】昭和57年4月 岡山大学医学部付属病院 第一内科 所属平成 5年4月 四国がんセンター 所属平成25年4月  〃       副院長(独)四国がんセンター松山市南梅本町甲160 TEL:089-999-1111proleこの人に聞く3

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