所報9月号
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 当所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。 愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大学発のホットな情報を提供します。 ぜひ、ご一読ください!産学連携で地域経済をパワーアップ!第25回研究内容第25回 えひめの海から水産イノベーションの創出をPart2 先月号に引き続き、愛媛大学をはじめとした産学官金の各機関が連携して行っている、地域の状況に即した流通システムの開発や水産業の6次産業化を目指した研究についてご紹介します。~新流通システムの開発による水産業の6次産業化~ 新鮮なカツオは南予地域において地域振興の目玉として位置付けられていますが、近年、カツオ釣りに必要な、まき餌用カタクチイワシの供給が不安定になっています。本研究では、天然資源に依存しない効率的なカタクチイワシ養殖技術を確立し、まき餌の安定的供給システムを構築するとともに他の有用海産魚に応用できる海産魚モデルフィッシュを開発します。○地域に適したカタクチイワシの養殖基盤技術の開発  カタクチイワシは今まで基礎的研究があまり行われていま せんでした。水温、光、餌などの様々な飼育環境下におけるカタ クチイワシの成長や成熟応答機構について研究しました。 ○カタクチイワシをモデルとする海産魚の養殖基盤研究  カタクチイワシをモデル魚として、最新の分子・細胞学的研究 手法を駆使し海産魚の生殖生理の基礎的メカニズムを解析し ました。研究の背景と目的(1)モデル海産魚を用いた新魚種の成長・成熟機構の基礎研究研究者:愛媛大学 南予水産研究センター 助教 柳 蓉沄 氏 クロマグロは自然資源が減少傾向にあり、養殖による生産が推進されています。親魚は大型であるため飼育実験を行うことは物理的、経済的に難しい状況にあり、クロマグロに近縁で小型のマグロ類スマ(地方名:オボソ、ヤイトなど)を実験用代替魚種として用い、愛媛県南予地域における養殖新品種として導入することを目指して完全養殖技術開発を進めました。 スマは実験魚として利用された歴史が浅いため養殖に関する研究の蓄積がなく、基礎的知見を集積する必要があります。スマ養殖技術開発および卵から成魚までのライフサイクルを人の手で循環する“完全養殖”に向けた研究開発を行いました。海面生簀を用いた天然種苗からの親魚養成、ホルモン投与による人為催熟、陸上水槽での環境制御による成熟誘導、人工授精などの技術開発を行い、天然魚と同時期またはそれよりも早期に受精卵を得ることを目的とし、成長・成熟に伴う生理的現象を分子・細胞学的手法を駆使して研究しました。 クロマグロと一緒に養殖されていた3歳魚を入手する機会に恵まれ、受精卵散逸防止や移送技術開発を行いました。平成25年度に実施した試食会ではスマの刺身商材としての高い評価を得ました。また、早期人工種苗を用いることにより、養殖期間2年で出荷時に4kgの流通販売に適したサイズになることが期待され、今後、市場に供給できるようになれば消費者の高い支持を得られる可能性を秘めています。“生産から市場流通、販売まで”の一連の流れが始動しました。平成28年度には、地元の養殖業者の方々の協力を得て、養殖実証試験を行えるよう研究開発を進めていきます。 カタクチイワシの基礎的な知見を得ました。まず、秋に捕獲したシラスを陸上水槽で飼育した実験では、3カ月でカツオ一本釣りまき餌としての出荷サイズの7cmまで成長することを確認。一方移送可能な時期などの特定、養殖に適した給餌方法、産卵特性について一定の結果を得ました。今後、開発した捕獲機材及び輸送技術のノウハウを地元地域の漁業協同組合や水産業者へ移管し、実証試験を連携して進めることで産業化を目指します。(2)マグロ類の完全養殖を目指した基盤研究研究者:愛媛大学南予水産研究センター 准教授 後藤 理恵 氏研究成果研究成果研究内容研究の背景と目的133212コラム13

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