所報3月号
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 2%の経済成長を持続的に実現するには地道に生産性を引き上げる、すなわち経済の実力をつけるしかない訳ですが、地方創生もそうした取り組みの1つに位置付けられます。地方創生に関しては、昨年秋に関連法案が成立し、年末に政府の総合戦略が閣議決定されました。今後、県や市町村が今後の人口ビジョンをそれを踏まえたアクションプランを作っていくことになります。政府の関連法「要綱」をご覧頂くと分かるのですが、地方創生の最終目的は、2060年に1億人程度の人口を維持することとあります。なぜ、地方創生と少子化対策が結びつくのでしょうか。「要綱」の説明はこうです。現在、大都市圏の出生率は低く、地方は相対的に高いことから、地方に働き盛り・子育て層の人口が流入すれば、人口減少対策に役立ちます。しかし、経済の生産性は大都市圏が高く、地方は見劣りするため、単純に地方に人口の移動が起きると、日本全体の生産性はむしろ低下することになり、2%成長は遠のきます。少子化対策と経済成長の両方の目標を達成するためには、地方の生産性を高めることが必須条件となります。そのためには、生産性の高い地域や、企業に集中的に投資することが地方創生の基本的な戦略となります。これは私の意見ではなく、国の法律「要綱」や総合戦略に書かれていることです。 愛媛県の出生率は1・5程度で、全国でも中位です。県下の市町で人口移動をここ20年でみると、市町別にかなり特徴があります。松山市は人口流入都市ですが、流入は10代と20代の女性でほぼ全て説明でき、20代から30代の男性は転出超となっています。働き盛りの男性の流入がみられる都市ではないことが分かります。一方、働き盛り・子育て層の流入で県内でも特徴的な都市は西条市です。県内外からの転入超が続いており、報酬も県内の平均を上回っています。また、新居浜や今治は、景気が悪くなると、地元へのUターンといった転入が増える傾向が最近みられており、雇用の受け皿になりうるような経済基盤があることは示唆されますが、持続的な流入がみられるまでには至っていないようです。宇和島や八幡浜は、20代で大幅な転出超になっており、一度転出すると景気如何にかかわらず戻ってこない傾向にあります。 こうした人口動態の特性を踏まえて、地域ごとに肌理細かくアクションプランを策定していく必要があります。地方企業でも販路が全国に広がっている企業と周辺地域に限られている企業では収益力に大きな差があることが実証されています。また、当地の中小企業でも輸出や海外展開を行っている企業は相応にありますが、中小企業庁の調査では、それでも愛媛県は全国平均を下回っています。販路の開拓にせよ、海外展開にせよ、当地が取り組む課題はまだまだ残されていることになりますが、裏返せば、成長する余地が十分にあるともいえると思います。実行できるかが鍵になると思います。場合だと2・9%の労働生産性の向上が必要となります。これらは過去平均の1・7%をかなり上回っています。2%成長実現のハードルは上がっているのです。地方創生プロフィール下田 知行 氏昭和39年生 鹿児島県出身平成 元年  3月  東京大学法学部卒 4月  日本銀行入行   13年 1月  国際決済銀行(BIS)派遣   15年 2月  信用機構室調査役   16年 7月  金融市場局企画役   17年 7月  金融研究所企画役   19年 7月  金融機構局企画役   20年 11月  金融機構局企画役国際担当総括   22年 7月  参事役          国際通貨基金(IMF)日本代表理事代理   25年 7月  松山支店長しも  だ   とも ゆき誌上講演会4

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