所報8月号
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――今後の愛媛大学社会連携推進機構としての活動について 愛媛大学の社会連携推進機構は平成16年6月に設立されましたが、平成6年6月に設置された地域共同研究センター(現:産学連携推進センター)の流れを汲んでいました。そのため、大学が持つシーズと企業のニーズのマッチングという産学連携に重点を置いていました。最近では、文部科学省が実施する「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC事業)」の観点から、大学が地方公共団体や企業等と協働して、学生にとって魅力ある就職先の創出を図るとともに、地域が求める人材を養成す愛媛大学を地域の中核を担う機関へ仁科 弘重 氏 東京都出身 60歳 教え子へ卒業の際に贈る言葉は「反応は大きく!」と語る仁科氏。植物を通して、人の感情の変化を研究した結果、人が心地良いと感じるのは、自分の言動に対して反応がある場合だとか。時間があれば、もう一度、四国八十八ヶ所を巡りたいとか。【 略歴等 】昭和53年 3月 東京大学 農学部 農業工学科 卒業昭和55年 3月 東京大学大学院 農学系研究科 修士課程 修了昭和55年 4月 東京大学農学部・助手昭和61年 3月 愛媛大学農学部・助教授平成10年 4月 愛媛大学農学部・教授(現在に至る)平成18年 4月 愛媛大学農学部副学部長平成23年 4月 愛媛大学農学部長平成27年 4月 愛媛大学理事・副学長、社会連携推進機構長国立大学法人 愛媛大学 社会連携推進機構〒790-8577 愛媛県松山市文京町3番TEL:089-927-8650FAX:089-927-8820http://www.ehime-u.ac.jp/proleるために必要な教育を提供するという役割が重要となっています。そのため、愛媛大学では、現状の約40%の地元就職率を5年間で10%向上させるという目標を掲げました。また、南予水産研究センターや紙産業イノベーションセンター、植物工場研究センターなどでは、研究はもとより、大学院生や地元産業の従事者を積極的に受け入れることにより、地域密着型の専門人材の育成にも注力しています。 私は、愛媛大学農学部で、教育担当の副学部長を5年間、学部長を4年間担当しましたので、人材育成に関する経験があります。この経験を存分に活かし、愛媛大学が地域の中核を担う機関として、社会人のリカレント(再教育)の人材育成プログラムの作成と、地域産業のイノベーションにも貢献できる仕組みづくりの両方に取り組みたいと考えています。高いトマトなどの野菜を栽培することができる太陽光利用型植物工場を研究対象に選びました。温室栽培はセンサーやITを活用し、あらゆるものをコンピュータ化しており、植物にとって最適な環境に制御しています。二つ目は、グリーンアメニティの研究です。この研究には20年ほど携わっています。部屋の中に植物を置いた場合の人に与える影響を、脳波やアンケートへの回答などから解析します。植物には、温熱環境調節・快適性向上効果、心理的効果、視覚疲労緩和・回復効果、空気浄化効果の4つの効果が期待されており、その効果について実験、研究を進めています。最近では、サントリーさんが「花のかべ」という壁面緑化システムを提案、販売していますが、これもグリーンアメニティの効果を得るための取り組みのひとつと言えます。これら2つの研究は共通点がないように感じますが、植物と環境との関わり合いが含まれている点で、非常に密接な関係があります。この人に聞く3

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