所報10月号
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 当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。 愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大学発のホットな情報を提供します。 ぜひ、ご一読ください!産学連携で地域経済をパワーアップ!産学連携で地域経済をパワーアップ!きぎょう発かいぎしょ経由だいがく行第58回第58回第58回 途上国を救う除去シートの研究 地域的な視点と国際的な視野から食料、生命、環境に関する様々な問題を解決し、自然と共生する持続可能な社会の構築に貢献できる人材の育成を目指す愛媛大学農学研究科において、環境汚染物質の除去を通じた環境保全や改善の研究に携わる松枝氏にお話しを伺いました。~ 愛媛大学農学研究科の取り組み ~│プロフィールを 教えてください。│愛媛大学での具体的な 研究内容については…。│今後の展開について…。 趣味は「掃除」という松枝氏。休日は「激落ちくん」や「キッチンハイター」を使用し、自宅の隅々まで掃除するとか。自宅の次は研究室の掃除にも勤しむそうだ。仕事をする上で大切にしている考えは「ローテク(Low Technology)も大事」。59歳。松枝 直人 氏愛媛大学大学院農学研究科生物環境学専攻教授 出身は熊本県熊本市です。熊本大学理学部を経て、九州大学大学院農学研究科を修了し、博士課程に進みましたが、途中で愛媛大学農学部の助手として赴任しました。熊本大学では化学を専攻していましたが、「農業に関わりたい」と一念発起し、大学院では農学研究科にて土壌の研究に携わりました。愛媛大学に赴任してからも、土壌の研究を続けており、水分に加えて栄養を蓄え、植物に与えるという性質を向上させる(吸着力を上げる)研究に取り組むほか、土壌からセシウムイオン(放射性物質)を除去する研究も行っており、ゼオライトを用いたセシウム除染シートを独自で開発しています。 発展途上国の水を無害にするシートを量産し、無償で普及させ、水に苦しむ人々の健康被害の防止に寄与したいと思います。WHOや政府などの支援団体に取り扱ってもらうためには、信用される実証データを提示する必要があるため、その収集に注力していきます。また、インドネシア、インド、マラウイ、スーダン等多くの留学生を受け入れてきたため、卒業生にも声をかけ協力しながら研究を進めていきたいと思います。目下の課題は、シートを量産できる企業の発掘です。CSR活動や地域貢献の一環としてシート製造にご興味のある企業がありましたら、お気軽にご相談ください。 発展途上国の飲料水に含まれる鉛、水銀等の重金属や大腸菌等を除去するシートの研究開発に取り組んでいます。発展途上国の貧困地域では、水道が整備されておらず、濁った川水や井戸水の利用による病気が原因で、年間200万人の方々が亡くなっています。濁った川水等を無害にする吸着シートを開発し、尊い命を救うために役立てようと考えています。現在、大型機械等を利用した浄化装置は開発されていますが、電源や場所を選ぶため、水にシートを入れてかきまぜるだけという、どこでも、誰でも、簡単に浄化できる吸着シートの普及が必要だと考えています。また、南予水産研究センターと協働し、吸着シートを応用してプランクトンを死滅させる、「赤潮」防除の研究も行っています。コラム14

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