所報7月号
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 出身は鹿児島県です。高校を卒業後、東京大学にて、植物を非破壊・非接触で診断する技術に触れ、クロロフィル蛍光画像計測に出会いました。クロロフィル蛍光とは、植物が吸収した光エネルギーのうち、光合成に用いられずに赤色光として植物から発せられたものです。これを画像計測し、光合成が活発かどうかを診断する研究を行いました。同大学の大学院を卒業後、愛媛大学農学部に勤務し、測定技術を農業分野で活用する研究を続けています。現在は、大学発ベンチャー企業にも携わり、測定機器をユーザーに直接届けています。 これまでの農業は、農家の経験と勘によって支えられてきた部分が大きく、天災やその年の天候によって収穫量が左右されたり、ハウスの室温や湿度を管理するためのエネルギー使用量が膨大であったりと、いくつかの問題点を抱えていました。これからの農業は、計測に基づく管理システムにより、植物の健康状態に影響がなければ、常に一定の温度を保つ必要がなくなるため、暖房の温度を下げることで、エネルギーと生産コストを削減することができます。また、植物が光合成によって吸収する二酸化炭素の量を測定し、光合成が活発になる時間帯を分析することで、最適なタイミングで二酸化炭素をハウスに送り込み、植物をより効率的に育てることができます。農作物の安定生産だけでなく、国から打ち出されているグリーン政策にも則っており、農業分野においても、温室効果ガスの削減や資源の最小化を目指しています。 現在は、作地面積1ha超えの大規模農家を主なターゲットにしていますが、今後は、中小規模農家の方にも、測定機器を提供していきます。そのため、現在、サブスクリプションで提供している計測機器の設置やメンテナンスを、会員事業所の方々に協力していただきたいと考えています。また、通信環境が未発達の地域では、画像データの処理に時間がかかるため、通信環境をより安定させるためのアドバイスがあれば、社会実装へ大きく動き出せるのではないかと期待しています。│プロフィールを 教えてください…。│活動内容について…。│今後の展開について…。挑戦を恐れず自分がやるべきことを貫く「鶏口牛後」と、組織を大事にし、納得を得ることに妥協しない「100回説明」を座右の銘としている。趣味はサッカー観戦と散歩。散歩で電器屋を訪れ、新製品をチェックするのが趣味なのは、機械工学(豊橋技術科学大学)でも教鞭をとる高山教授ならでは。現在、国から打ち出されているグリーン政策。今回は、植物の状態を数値化し、エネルギーコストを最小限に抑えた農業の実現に向けた研究を行う大学院農学研究科の高山氏にお話を伺いました。愛媛大学大学院 農学研究科 食料生産学専攻植物工場システム学コース教授コラム14企業Enterprise愛媛大学 University 当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大発のホットな情報を提供します。ぜひ、ご一読ください!~エネルギーと生産コスト削減に向けて~第高山 弘太郎氏測定機器を活用した次世代の農業当会議所Chamber of Commerce107回産学連携で地域経済をパワーアップ!

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