所報11月号
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 九州大学にて子どもの遊び場・秘密基地などを調べ、子どもの発達と環境の関りについて研究を行っていました。大学院時代に、障がいによる困難を支援するアシスティブテクノロジー(AT)を取り入れた療育機関と関わる機会があり、障がいがある子どもの支援について考えるようになりました。その後、指導教授からATの先駆者、中邑賢龍氏を紹介され、ATや障がい福祉、特別支援教育の研究に携わるようになりました。の一つが、ボイスルーラーというものです。自閉症や発達障がいがある子どもは、自分で声の大きさを調整することが難しく、声の大きさを示すATを作れないかという相談を受けたのがきっかけとなりました。今では多くの学校や施設・企業等で使用されています。現在は、会話が困難な方に向け、会話補助アプリの開発を進めています。これまで使用されてきたVOCAという会話補助装置よりも手軽に使えるよう、時間や場所でパターンを割り出し、最小限の操作で会話ができるような工夫を施しています。さらに、重度重複障がい者が体の動きなどのパターンから意思を表現できるATの開発も進めています。このほか、障がいによる困難を支援する機能を強化した遠隔学習支援システム「志」を立ち上げ、障がいがある方や通学が困難な方も使いやすく学びやすい仕組みづくりをしています。加えて、文字を読むことが困難な児童生徒向けに、音で聞いて学習ができる「音声教材UNLOCK」を開発しました。これらは国から支援を受け、すべての人が学びの機会を得られるようにと進めている事業となっています。 近年、ATは汎用性の高さから専用機ではなくアプリへと形を変えていっています。そのため、アプリをはじめとしたシステム開発を松山の企業の方にお願いしたいと思っています。また、障がい児者の生涯学習を支援する活動として、360度カメラの映像を使った施設見学などを行っていますが、工場内の映像やドローンを使った映像など、学習につながる素材の提供も必要としています。一方で、障がい者の雇用を始めようとしている企業や、既に雇用を行っており、より働きやすい環境を作りたいと考えている企業のサポートも行いますので、ぜひご相談ください。│プロフィールを 教えてください。│活動内容について…。│今後の展開について…。企業Enterprise愛媛大学 University 当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進しています。愛媛大学社会連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大発のホットな情報を提供します。ぜひ、ご一読ください!~誰も取りこぼさないインクルーシブな街を目指して~  これまでに開発したAT令和3年4月に愛媛大学に設置された教育学部附属インクルーシブ教育センター。今回は開設当初からセンター長を務める教育学部の苅田氏にお話を伺いました。愛媛大学教育学部附属インクルーシブ教育センターセンター長趣味は自転車で、トライアスロンの経験もあるなど、体力は自慢。書道も嗜む。雅号「大道」の由来である「大道無門」を座右の銘にしている。コラム14苅田 知則氏障がいがある人を地域の宝に当会議所Chamber of Commerce第産学連携で地域経済をパワーアップ!111回

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