■プロフィールを教えてください。■食品健康機能研究センターの概要と 主な研究について教えてください。今回は愛媛大学において先端的研究に取り組んでいる食品健康機能研究センターのセンター長兼任教員である菅原卓也氏にお話を伺いました。 出身は福岡県です。九州大学へ進学し、農学部食糧化学工学科で学びました。大学時代は細胞バイオ研究に従事し、特定の成分が引き起こす細胞への影響や、食品に限らず、細胞機能を高める物質の探索を行っていました。教員として愛媛大学に着任してからは、学生時代に習得した、細胞を使って様々な物質の機能を測定する実験手法を活かし、食品成分の健康機能を評価する研究を行っています センターは、2023年7月に農学研究科附属から全学センターへ移行しました。全学センターになるにあたり、もともと4部門に分かれていたセクションをスリム化し、機能性食分子研究部門、高機能食材開発部門、そして食品産業連携部門という3部門に集約しました。各部門ではそれぞれの領域で食品の研究や製品の開発を行っています。特に食品産業連携部門では、産学連携による製品開発を■今後の展開について…。〜研究・連携・実装の三位一体モデル〜食と健康を結ぶ愛媛大学の先端科学拠点積極的に行っており、中でも、柑橘類に含まれるノビレチン(花粉症・炎症・肥満改善)、オーラプテン(認知機能改善)などの成分に注目した機能性食品の開発や、黒酢、ヨーグルトなど発酵食品を対象としたプロバイオティクスの効果や食と健康に関する栄養疫学研究を進めています。また、3部門に加えて企業や自治体との連携強化を目的に連携推進室を立ち上げました。これにより、国内外の企業や自治体、あるいは国際的な連携のなかで先進的な食品開発をこれまで以上に行っていきたいと考えています。大学だけでは製品開発を行うことは難しいため、様々な企業と連携し、より高い効果が期待できる製品を研究、開発していきたいと考えています。また、愛媛大学ではインドネシアと密接な交流があります。インドネシアは多様な香辛料の産地であることから、現地の大学と連携して香辛料の健康効果を明らかにする研究を進めています。当然、味に対する嗜好性は日本人とインドネシア人とでは違いますので、日本とインドネシアそれぞれで製品を開発していくことになります。また、留学生が増加していることを背景に、今後の連携国候補としてベトナムが挙がっており、インドネシアと同じような展開を目指しています。今後も地域性と国際性を兼ね備えた多角的な研究活動に注力していきたいと考えています。 0⬜⬜⬜⬜⬜⬜⬜当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進中です。愛媛大学研究・産学連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大発のホットな情報を提供!コラム国立大学法人愛媛大学食品健康機能研究センターすがはら たくや菅原 卓也 センター長・教授モットーは、「鉄は熱いうちに打て」。気持ちが乗っている時にできるだけ前へ進み、苦労すべき時に苦労しておく。苦労を乗り越える能力を学生時代に身につけていてほしいと願う。愛媛に赴任した際には、年間を通して旬の柑橘が食べられることに驚き、柑橘王国愛媛を実感したという。第139回16
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