■プロフィールを教えてください。■防災情報研究センターの概要と今回は愛媛大学において特徴的な先端的研究を推進している防災情報研究センターセンター長・教授の木下尚樹氏にお話を伺いました。 松山生まれ、松山育ちです。土木の世界に興味を持ったのは建設省(現:国土交通省)で勤務していた叔父の影響でした。当時、叔父は石手川ダムの建設に携わっており、後に完成したダムを一緒に見に行った際、そのスケールに衝撃を受けました。この出来事がきっかけとなり、大きな建造物を造る仕事に憧れを持ったことが、後の進路に繋がったように思います。松山東高校を卒業後、愛媛大学工学部土木工学科へ進学し、修士課程を修了しました。その後は建設会社に勤めておりましたが、1994年に愛媛大学へ教員として戻り、現在に至ります。 2025年4月から防災情報研究センターのセンター長に就任し、現在はセンターでの活動を中心に、研究等を行っています。直近ではLPWA無線技術を用いた■今後の展開について…。〜地域密着型の防災研究最前線〜最新の防災研究で地域に貢献斜面災害監視システムの実装化プロジェクトに関する研究に取り組んでいます。LPWAは低消費電力、長距離通信が可能な無線技術で、斜面に打ち込んだセンサー端末とつなぐことで、斜面の状態をリアルタイムに監視し、斜面の傾きを迅速に感知することができます。現在、センサーの性能確認のための室内実験や、現場観測を行っているほか、斜面崩壊時のデータなどの観測を行っており、災害発生を予測するシステムの早期実装化を目指しています。愛媛で生活を営む以上、目を向けなければならないのは南海トラフ地震への対策です。今年改定された国の防災対策推進基本計画では、南海トラフ地震の直接死の死者数8割減、建築物の全壊焼失棟数を5割減とする目標を掲げた上で、計134項目の重点施策について数値目標を定め、10年以内の達成を目指しています。センターでは、ハード・ソフト両面からこの目標達成に向けた取り組みを検討しています。また、防災減災には行政や企業、そして地域住民との連携が不可欠です。多くの機関や個人の力を結集し、この四国最大の自然災害に備え、実践的な防災・減災活動を進めていきます。 主な研究について教えてください。当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進中です。愛媛大学研究・産学連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大発のホットな情報を提供!コラム国立大学法人愛媛大学防災情報研究センターきのした なおき木下 尚樹 センター長・教授モットーは、GACKTさんの言葉「“やる”か“もっとやる”か」。学生には、恵まれた教育環境の中で学業と前向きな精神を養ってもらい、将来、社会に恩返しをしてほしいと願う。趣味はランニング。今年も愛媛マラソンにエントリーし完走を目指す。第140回16
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