所報8月号
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坊っちゃん団子を「通して」事業をつなぐ教育の場面から新たな地域のお手伝い 道後商店街に店舗を構える老舗和菓子店、白鷺堂。道後温泉に伝わる白鷺伝説にちなんで名付けられた。創業当初は、団子やタルト、羊羹といった和菓子に加え、芸妓向けに京都から仕入れた履物を販売した。 白鷺堂の看板商品は、坊っちゃん団子。防腐剤を一切使用しておらず、保存期間は短いが、「安心・安全に召し上がっていただきたい」という創業時からの想いを守り続ける。また、50年以上、夏季は冷たい麦茶、冬季は温かい玄米茶のお接待を続けている。 110年にわたり道後の地で歴史を紡いできた白鷺堂だが、コロナ禍による客数減は経営に大きな痛手を与えた。道後商店街では多くの店舗がシャッターを下ろしたが、それでも、白鷺堂は通い続けてくれる地元のお客様のために営業を続けた。現在、道後には再び多くの観光客が訪れるようになり、賑わいが戻りつつある。 道後商店街には、白鷺堂のほかにも「坊っちゃん団子」を提供する店舗が複数ある。代表の愛子氏は、「店ごとに味も異なり、個性がある。それぞれのお店の坊っちゃん団子を楽しみながら、道後の魅力を感じていただきたい。」と語る。 今後の道後地域の活性化を願いながら、白鷺堂は今日も一串ずつ、心を込めて団子に串を通す。 創業110年を迎えた山本貫一商店。大正時代、暮らしに文房具を届ける行商を経て店舗を構えた。かつては登下校の途中に立ち寄る子どもたちで賑わい、店内はノートや鉛筆を選ぶ声であふれた。 昭和初期から教科書の取り扱いを始め、学校教育とより深く関わる事業を展開。その後、地域に根ざした存在として、丁寧な仕事と誠実な対応で信頼を築いたが消費スタイルや教育環境は大きく変化した。文房具は量販店やネット通販で簡単に手に入るようになり、少子化の影響を受け、小学校の児童数も過去最少。また、教育現場にタブレット端末が導入され、教科書や学びのかたちそのものが大きく変わり始めている。 こうした変化を前向きに受け止め、山本貫一商店は事業のあり方を柔軟に見直している。学校との信頼関係を活かし、教科書販売を主軸に、学校図書室や公共施設への書籍・図書館用品の納入など、地域の学びのインフラとしての役割を担う。現在は、3代目の山本信夫氏が事業を承継。紙の教科書に加え、デジタル教材や電子教科書といった教育ツールにも目を向け、可能性を模索している。 これからも山本貫一商店は、時代の先を見据えながら、三津のまちで静かに、そして力強く、未来へとその歩みをつなげていく。大正3年創業お客様に「おいしかった、また来よう」と思ってもらえるように、心のこもった商売とお接待を続けて参ります。誠実に、柔軟に変化していくこと地域の声に真摯に耳を傾け、変化を恐れずに進化し続ける。創業当会議所会員創業記念表彰を受賞された会員のみなさんをご紹介します。大正3年創業創業事業所概要代表者:小池 愛子 所在地:松山市道後湯之町12-27 TEL:089-921-9031事業所概要代表者:山本 信夫 所在地:松山市元町9-16 TEL:089-951-0574坊っちゃん団子製造機メッセージ貫一の妻イチと店舗メッセージ110周年110周年15会員トピックス白鷺堂㈾山本貫一商店

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