■プロフィールを教えてください。■南予水産研究センターの概要と今回は愛媛大学において特徴的な先端的研究を推進している南予水産研究センター長の後藤理恵先生にお話を伺いました。 出身は群馬県です。子どもの頃から生き物が好きだったこともあり、北海道大学水産学部へ進学し、博士号を取得しました。その後、米国メリーランド大学の海洋工学研究所でポスドクとして水産や水生生物の研究に携わり、北海道大学に戻ってからもポスドクとして研究をつづけました。 2012年、新魚種開発として幻の魚とも呼ばれるマグロの近縁種「スマ」を一から完全養殖化する研究を愛媛大学でスタートすることとなり、愛媛大学へ赴任しました。 南予水産研究センター(以下:南水研)は教職員や学生が実際に愛南町民として生活しながら研究教育にあたるレジデント型と言われる研究拠点です。海洋・水産分野でレジデント型研究がうまく機能している世界でも大変稀有な研究■今後の展開について…。〜愛南町に根ざす「南水研」から生まれるイノベーション〜海を未来へつなぐ研究拠点拠点です。先述のスマは、南予でも漁獲量が少ない未知の魚であったことに加え、養殖が難しいマグロの近縁種のため、完全養殖の道のりは厳しいものになると思っていましたが、愛媛県水産研究センターの高い種苗生産技術、そして地域の生産者との協力等により、5年という短期間で達成することができました。現在は、膨大なデータを解析して遺伝性のあるおいしいスマの特徴を見つけ出し、より良いスマを作るための研究開発を行っています。 スマの養殖は、天然マグロの豊漁により難しい局面を迎えています。また、水産分野では、大学の研究開発成果をマネタイズするのが難しい現状です。系統や技術だけでは知財を守ることができないため、スマの養殖技術やノウハウを産業に生かすべく、JST事業のスタートアップ・エコシステム共創プログラムを活用し、今後3年間で産業化の仕組みを構築してきたいと考えています。また、地域定着型人材育成の成功事例として南水研の取組を外部へ発信していくとともに、同じくレジデント型研究の先進拠点であるフロリダのMOTE海洋研究所との連携を視野に入れ、活動を続けていきます。 主な研究について教えてください。当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進中です。愛媛大学研究・産学連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大発のホットな情報を提供!コラム国立大学法人愛媛大学南予水産研究センターごとう りえ後藤 理恵 センター長・教授学生には、答えのない課題に挑戦し、自ら考え、判断する力を付けてほしいと願う。農業にも関心を持ち、野菜の栽培や山での活動も行っている。海以外にも土壌の多様性や構造に目を向けることで、広い視点で海の養殖環境を考えている。第141回16
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