所報2510_電子BOOK
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時代の変化の中で常に新しい事業を訴求次の世代に想いを継承する老舗宿 問屋町にて包装資材の販売、農業・園芸資材の開発、販売を手掛ける一色本店が創業100周年を迎えた。大正にて創業、果実掛袋の製造を手作業から機械化するなどして事業を拡大。同氏が亡き後は、妻の梅代氏が社業を引き継ぎ、世界恐慌、第二次世界大戦などの混乱期を乗り越えた。終戦後は、一色恒唯氏が妻のまつよ氏と共に、果実掛袋の製造、販売を再開して県内全域をオート三輪車で納品するなど、夫婦二人三脚で戦後の混乱期を乗り越えた。時代、産業や生活スタイルが変化するなかで、新事業に取り組んでおり、恒唯氏は、誰しもが目にするみかんのダンボール化粧箱を開発した。現在、経営のかじ取りを担う一色恒平氏は、果実掛袋から、自社開発商品の取り扱いに販路を広げるほか、妻の眞由美氏と共に、お米の鮮度を保持したまま長期保存が可能な保存袋「ネルパック」や、薬剤を使用せずに害虫を捕獲する粘着式の捕虫紙「トルシー」など農業の現場に求められる商品開発、製造にも力を入れている。大手ECサイト開設の翌年には、ナジャ工房の店名でネット販売を開始した。 これからも、今まで以上の変革が求められるなか、創業以来培ってきた経験と実績、柔軟な思考を武器に、常に未来に向かって歩みを続ける。 昭和19年の創業以来、松山・道後の移ろいと共に歩んできた老舗の宿「うめ乃や」。初代は、8人兄弟を養うため、農家から転じて下宿屋を始めた。俳人・河東碧梧桐の甥である俊太郎が一時期ここに身を寄せ、碧梧桐本人もしばしば訪れた。新築の祝いに碧梧桐から贈られた掛け軸が残されている。昭和29年には宿屋へと姿を変え、以来80年にわたり客を迎え続けてきた。平成6年には数寄屋造りの客室と庭園を備える現在の姿へと改築したが、木造建築の細部には職人の手仕事が受け継がれている。客室からは「湯築の杜」を借景とした庭園が広がり、四季折々の風情を映し出し、華美な演出ではなく心を落ち着かせる、豊かさを大切にしている。 三代目女将の今山美子氏は、コロナ禍でお客様も収入も途絶えるという苦境を経験した。客室数を10室から6室へ縮小、部屋食を食事処での提供に変え、従業員体制を正社員のみとした。「変えなくてはいけないもの、守らなければならないもの。その見極めが経営者には求められる」とコロナ禍を振り返る。女将は「五感を働かせて、お客様が本当に望んでいることを感じ取る力こそ大切」と語る。小規模宿だからこそできる気配りと、老舗としての誇りを胸に、次の世代へその心を継承する道を模索している。大正13年創業道は一本ではなく、常に新しい道を探すこと。途切れても途切れても、常に探し続けること。改築前のうめ乃や先代からの思いを受け継ぎ、これからも変わらぬ心でおもてなししてまいります。創業メッセージメッセージ地元の人に愛される宿でありたいという当会議所会員創業記念表彰を受賞された会員のみなさんをご紹介します。昭和19年創業創業80周年事業所概要代表者:一色 恒平 所在地:松山市問屋町4-28 TEL:089-922-4141事業所概要代表者:今山 美子 所在地:松山市上市2-8-9 TEL:089-941-257013年、一色恒五郎氏が三番町100周年15会員トピックス㈱一色本店㈲梅乃家

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