■プロフィールを教えてください。■地域共創研究センターの概要を 教えてください。今回は愛媛大学において特徴的な先端的研究を推進している地域共創研究センターセンター長・井口梓氏にお話を伺いました。■今後の展望を教えてください。〜地域共創研究センターの挑戦〜まちの文化を未来の力に 出身は香川県です。専門は観光学と文化資源マネジメントです。私はその中でも祭りや方言といった形のない無形文化を「資源」として捉え、観光など未来のために活用する研究に取り組んでいます。私は団地で育ったため、幼少期はいわゆる「ふるさと」の文化に触れる機会が少なく、かえって昔からそうしたものへの関心を高く持っていました。ふるさとを離れ都市部で暮らす、自分のような世代が増えるにつれて、地域の文化はこの先どうなっていくのか課題意識を持ち、大学院に進学しました。地理学の研究室で全国を調査する中で、特に人口減少や自然災害の被災地などで文化が危機に■する場面を目の当たりにしました。人々が守ろうとする文化に触れ、「記録するだけでなく、未来へ繋ぐこと」が自分の使命だと思い、この道を本格的に歩むことを決意しました。るための拠点です。文化を守ることはもちろん、人口減少やグローバル化といった様々な課題と向き合いながら、戦略的に活用していくことを目指しています。活動の一つに、「まちなか大学」というトークイベントシリーズがあり、私たちの研究成果を分かりやすく社会に発信するための試みです。例えば、「民俗文化とアートとのコラボレーションの可能性」「松山城の建築をみて歩き、健康促進に結びつける」など、異分野の専門家を組み合わせ、新しい切り口から分かりやすく企画しています。これまで文化系の催しに足を運ばなかった若者やビジネス層にも好評で、初回は立ち見が出るほど盛況でした。文化のすそ野を広げ、様々な人が関わることで新たな文化経営に挑戦したいと思っています。 文化分野における産学官連携をさらに深めていきたいと考えています。これまでの文化に関する「学」の役割は、行政と連携した基礎研究が中心でした。これからは、まちづくり、防災、都市計画、観光、福祉といった様々な分野や、民間企業と文化研究者をつなぐ必要があり、大学内外に「開かれた文化の場」、にオープンイノベーションの発想をもたらしていくことが重要です。今後は、文化資源の付加価値を高めながら、経済や社会に貢献する取り組みを強化していき、センターの活動を通じて、文化経営の「愛媛モデル」を確立し、全国に発信していきます。センター長という立場は、愛媛大学に着任して16年間、地域で温めてきた文化とまちづくりへの想いを、ようやく形にしていくためのスタートラインです。多様な方々と共に文化の価値を高め、社会に還元していく未来を創っていきます。 当会議所では、地域産業の活性化を目的に、会員企業と大学の連携を推進中です。愛媛大学研究・産学連携推進機構の協力のもと、毎月、愛媛大発のホットな情報を提供!コラム 当センターは、文化経営を実践す愛媛大学社会共創学部 教授地域共創研究センターセンター長いぐち あずさ井口 梓学生は、強い使命感をもって地域課題に向き合ってくれているが、もっと気負わず自由に新しい発想をもって、やりたいことや幸せを追求しながら、例えば地域の人たちの喜ぶ顔がうれしい等、誰かを想う気持ちを原動力に、自分らしくできる事から始めて欲しいと願う。趣味は、街歩き。紙の地図をもって、予定にない場所にたどりついたり、想像しなかった人との出会いがあったり、街歩きを楽しんでいる。第144回16
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