所報2511_電子BOOK
9/24

リレーコラム 第29回大変革チャンス共感を得て進めるためにチェンジの時代にを掴む7コラム スポーツやイベントによる地域活性化委員会に所属して試合を観戦し、熱気と高揚感に包まれてきました。スポーツには街に住む人をワクワクさせる効果があります。そのワクワクが街に来る人にも伝播していけば街は必ず活性化していくと思います。しかしその道のりは非常に厳しい…。手がかりのひとつを思い出しました。 私の父方の菩提寺は京都にあります。二百年近くになる本堂は老朽化が進んでいました。8年前の秋、前年末に就任した住職から檀家に手紙が届きました。彼岸会の法要のあと、寺の将来像について説明したいという内容でした。当日、集まった檀家の皆さんに驚きの提案がありました。なんと本堂を取り壊して跡地にホテルを建て、寺はその1階に入るというのです。皆さんは落ち着いて聞いていて、不安や不満の声はありませんでした。それは住職が提案した計画が極めて具体的で配慮が行き届いていたからです。本堂の耐震性に問題があり再建が必要なこと、多額の費用が必要で寺と檀家の負担で取り組むのは現実的ではないこと、住職就任まで四半世紀銀行員として仕事をしていた経験があるといった説明があり、イメージ写真も用意されていました。何より、寺院とホテルの一体開発で寺の歴史や伝統を継承しつつ次の百年を見据えた新しい寺院像を目指したい、という熱い思いが響きました。本山(知恩院)の許可も出ていて工事中ご本尊もお預かりいただけるということも安心材料でした。そして本堂は2020年夏に竣工し、9月末にはホテルも開業しました。工事期間中に住職からあわせて10回、進■状況を知らせる資料が檀家に届きました。このことも寺への信頼を強めることにつながりました。再建された本堂はバリアフリーになっていて、適度な暗さと独立性は保たれています。また、ホテルの賑わいも続いています。 裏付けのある計画を立て、情報は開示し、進■は逐一報告して、共感・信頼を得て事業を進めるという、当たり前のことが実は最も難しいのかもしれません。けれど一歩ずつでも前に進んでいきたいですね。イベントやスポーツによる地域活性化委員会 副委員長井上 隆史

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る